今日は銀座の小料理屋へ。
きっかけは後輩が店の看板の上に飲みかけのペットボトルを置いて、僕と一緒に外で立ち話をしてたこと。
立ち話をしていると、突然恰幅の良い強面のマスターが店の中から、大きなゴミ袋を抱えて出てきた。
「おい!何置いてんだ!お前か?」
突然の怒号に思わず心臓がキュッと縮み、殴れるのかと思った。
「銀座にはルールがあるんだよ!人の看板に物を置くってのは、人の顔に泥を塗ることと一緒なんだよ!」
なんてことをしてしまったんだ。
マスターに申し訳ない。
直接的に僕がカルピスを置いていないとは言え、僕が後輩の面倒を見るべきで、僕に監督責任がある。
そう考えた僕は、マスターの顔に泥を塗ったこと、軽率な行動をしてしまったことに、深々と丁重に謝罪をした。
その後、
恋達「俺らあかんかったよな。行動が軽はずみだし、マスターの立場なら普通怒るよな。」
後輩「いや〜、恋達さん関係ないのに、僕のせいでマスターを怒らせて申し訳なかったです。。」
恋達「俺も注意出来てなかったからやから、全然やで。」
後輩「それにしても、さっきの銀座にはルールがあるっての気になりません?」
恋達「確かにせやなぁ。気になる。お店の中に入って聞いてみいひん?」
後輩「き、聞いてみます?(あれだけ怒られたのに気まずいって)」
恋達「こういう時は行くもんやからな!よし、突っ込もう!」
石畳の上を歩き、右手に引く扉をガラガラガラと開けると、マスターはカウンターの奥に座っていた。
営業終わりで深夜1時台。
しかめっ面でマスターは、
「お前ら何の用じゃ。これ以上の冷やかしは許さんぞ」
と金剛力士像のような顔をして僕たちを睨んできた。
「あの、先ほどは僕たちの不届きによって、大変無礼なことをしてすみませんでした。
一つ気になったことがありまして、先ほどマスターが銀座にはルールがあるとおっしゃってたのですが、どういう意味でしょうか?」
マスター「分かってくれたら良いんだよ。それにしても、お前たち珍しいな。きちんと謝ってくるやつなんて、初めてだ。」
恋達と後輩「いえいえ。。」
マスター「気に入ったから一杯飲んでいけよ。酒は飲めるのか?」
恋達と後輩「良いんですか??はい!何でも飲めます!」
マスターの表情は見る見るうちに柔らかくなり、一緒にウイスキーを飲んだ。
戦後や日本軍の話、神風特攻隊、知覧にある戦士たちの手紙、ヤクザ、銀座警察の話など、多岐に渡る話をして、結局3杯もご馳走になった。
恋達と後輩「ご迷惑をおかけしたのにご馳走にまでなってすみませんでした。今度、自腹でご飯を食べに来させてください!」
マスター「うちは高いから来なくて良いよ。無理するな」
恋達と後輩「いえいえ!ご飯を食べるぐらいのお金はありますので!」
マスター「じゃあ、名刺を渡しておこう。お前たちは若いからコースで1万にしておくよ。」
恋達と後輩「ご好意に甘えさせていただきます!ありがとうございます!必ず近いうちにご飯を食べに来ます!」
そして、今日。
マスターの料理は家庭的の中の最上級の味で、どれも美味しかった。
カルピス事件によって、まさかの事態。
想定外も想定外だった。
しかし、カルピス事件によって新たなご縁が生まれ、行きつけのお店が増えた。
場所は銀座の高級クラブが立ち並び、ちょうど高級クラブの反対側の1階。
あの時、勇気を振り絞って本当に良かった。
一時は胸ぐらを掴まれたり、殴られるのかと思ってビクビクしたけど。
写真はマスターとその奥さんです。
後輩ナイス!ファインプレー過ぎる!
俺は若くないから、失礼なことをすることも少なくなったし、君は若いからこれからも礼儀のないアホでいてくれw
Fin